W1S(ダブワンスペシャル)
これまで自分が乗ってきたオートバイの中で、周囲から「最も似合っている」と言われたのは、カワサキのダブワンスペシャル(W1S)だった。
世代的には自分よりももっと年上の、齢70代前半の方々にとっての憧れのオートバイであり、実際に発売されたのは1966年以降だという。
地元の年の離れたバイク屋のK先輩は、自分より10歳年上で、所謂1970年代後半から1980年代にかけてのオートバイブームを経験しており、オートバイの魅力にどっぷり漬かって20代後半の若さで実家でバイク屋を開業したツワモノだが、長くCBX1000に乗っていたK先輩が強く憧れを抱いていたオートバイは、1970年代のCB750FOURや750RSなどの空冷4気筒モデルなどではなく、それよりももっと前のバーチカルツインのカワサキW1シリーズだった。
縁があって、程度の良いワンオーナー車をK先輩が手に入れたのは、確か1990年代に入ってからだったと記憶している。
1990年代当時、K先輩はバイク屋をやりながらカーコーティングとフィルムを張る仕事も始めたのだが、趣味が高じて1970年代の古い空冷エンジンの名車を買い揃え始める。
2ストトリプルのカワサキのマッハシリーズや、水冷のスズキGT750、GS750やカワサキのZ系、ホンダのCB750Fなどが、当たり前のように店先に並んでいたのだ。
納車や引き取りの際、これらの古いオートバイに当たり前のように乗るのだが、その中にはW1Sもあったがあまり乗ろうとしなかった。
理由は単純で、デコンプのついていない重いキックスタートしかないことと、旧規格のため(BSA等の英国車を模倣していたため)チェンジレバーとブレーキが左右逆になっていて非常に乗り辛かったせいだ。
車格は650㏄にしてはとても立派で、タンクのメタルパーツが特別なスペシャルモデルを主張していてとても格好良かったし、キャブトンマフラーが奏でる『地面をぶっ叩くような』独特の排気音が非常に魅力的で、いつしか自分もW1Sに魅了されていたのかも知れない。
最初からキックでW1Sのエンジンを掛けることが出来たせいで、当時「ダブワンのエンジンを一発で掛けられるヤツ」という妙な渾名で呼ばれることとなり、それ以降はことある毎にW1Sを貸し付けられるようになっていた。
丁度所有していたカワサキの750RSが壊れていたせいもあるが、少し前のフラッグシップ車だったW1Sが、実は750RSよりも自分とフィーリングが合うことに気づく。
ちなみにW1Sは120㎞/h以上スピードを出そうものなら、細いフレームが捩れて直進しながら円旋回しはじめ、まっすぐ走ることが出来なくなる。
出せて100㎞/h、快適なのは80㎞/hくらいだろう。
後継となった650RS(所謂W3)は足回りが強化されてこういったことはないとのことだが、それでも大差ないだろう。
自分的には、かつて思いっきり乗ったオートバイだったから、再び乗りたいとはあまり思わないが、Wシリーズは1990年代末期にW650として新生して以来、一時的に販売中止になったりもしながら、現在もW800として販売されている。
しかし、新生Wには乗ったことがないからよくわからない。
こういった独特な存在感と伝統的なスタイルで乗り続けられるものだけが残って欲しいと願ってやまないが、現実は、珍妙なスタイルのものばかりになってしまって残念でならない。
※結構写真撮ったはずなのに手元に全然見あたらない。いつかアップできることを願って。
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